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校長ブログ(9月)

 この夏、宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』が封切られました。観客動員数もさることながら、さまざまな話題がニュースになっています。映画内容とは直接にはつながりませんが、題名の『君たちはどう生きるか』は1937年に吉野源三郎さんが世に出した本によるとのこと。

 私はこの本を中学2年の時に読みました。主人公のコペル君が中学2年(旧制)であったことに親近感を覚え、夢中になって読んだことを覚えています。その後、大人になってからも読み返し、本校の高校生にはたびたび引用してお話ししました。

 物語は霧雨の中、銀座のデパートの屋上から見るカブトムシのように小さな自動車が行き交う場面より始まります。ここからコペル君は「人間て、まあ、水の分子みたいなものだねえ」と発言します。これに対して、叔父さんはノートに「ものの見方について」コペル君へのメッセージを書き留めるという形式で進んでいきます。コペル君は様々な経験を通して、社会について、人間について考えていきます。

 なかでも「雪の日の出来事」について書かれた「人間の悩みと、過ちと、偉大さについて」の叔父さんの言葉「僕たちは自分で自分を決定する力を持っている。だから誤りから立ち直ることも出来るのだ」には心に響くものがありました。

 5年ほど前にこの本は漫画にもなってベストセラーとなりました。生きる上での判断の基準について考えさせられる名著中の名著です。





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